なぜフィラリア予防するの?
2011-06-02 15:22:50
犬に感染する寄生虫の一つに、
「フィラリア(犬糸状虫)」があります。
☆フィラリアってどんな虫?
[全部読む]フィラリアはそうめんのような細い虫で、一般的に日本に生息している蚊によって媒介されます。蚊がフィラリアに感染している犬を吸血すると、蚊の体内にフィラリアの子虫である「ミクロフィラリア」が取り込まれます。ミクロフィラリアは蚊のマルピーギ管という部分で発育し、気温条件によって約2週間~1カ月後に感染力を持つ幼虫となります。
この感染幼虫は、それを持った蚊が他の犬を吸血する際に犬の筋肉内などへ侵入します。感染幼虫はそこで発育した後に血管内に移動し、感染して半年近くで心臓に到達して成虫になります。この成虫が先述のミクロフィラリアを血液中に産み出し、新たな感染源となるのです。
☆どんな症状?
成虫が心臓に多数寄生すると、右心室から肺動脈の血流が悪くなり
●食欲低下
●運動不耐性
●咳
といった症状を現すようになり、さらに進行した場合は貧血や腹水などを呈するようになり、最悪は死にいたることがあります。
☆予防はどうするの?
上記のような症状を防ぐために、フィラリアの予防はとても重要です。
しかし、蚊の吸血を100%防ぐことは困難なため、フィラリア感染そのものを予防することは現実的に不可能です。そこで、すでにワンちゃんの体に入ったフィラリア幼虫を駆除する駆虫薬を投与して、フィラリア症の発症を予防します。
蚊の吸血時にフィラリア幼虫が体内に侵入して血管内に移動するまでのタイムラグを利用して、飲み薬の場合、駆虫は1カ月に1度行います。
注射での予防は、半年に1度の皮下注射となります。
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多摩川での犬の散歩に注意
2011-04-03 18:36:09
最近当院において、関東地方ではほとんど報告のないマダニにより媒介される犬のバベシア症の発生が見られました。
その犬の行動範囲などを検討したところ多摩川のダニから感染したとしか考えられず、多摩川に散歩に行かれる際は犬の命に関わる病気ですので十分な注意が必要です。
バベシア症は原虫であるBabesia canis または Babesia gibsoniがダニを媒介し赤血球内に寄生し溶血性貧血を引き起こす非常に致死率の高い病気です。
ダニの寄生後48時間以上経過するとバベシアの感染率が高くなるといわれていますので日頃から皮毛のチェックを心がけてください。
[全部読む]また薬剤によるダニ寄生の予防、あまり深い草むらに入れないような注意も必要です。
万一ダニの寄生に心当たりがある上に貧血、黄疸、血尿などの症状が見られる場合にはご相談ください。
この地域にお住まいであれば、犬を多摩川に連れ出したくなるのは人情ではありますが、バベシア以外にもノミ寄生、ウイルス性、細菌性の感染症等いろいろな病気の巣になっていることも事実ですので十分な注意をお願いいたします。
釣り針による被害も多くなっています。釣り針には返しがついているため、無理に抜こうとするとかえって傷を大きくしてしまうこともありますのでお早めに御来院ください。
散歩をする側のマナーについても多摩川においては問題があり、道路や公園では糞の始末をする人でも多摩川だとしない人が多いように感じます。
ただでさえ相当数の犬が集まる上、糞の始末がされなければ衛生面における問題が発生するのはさけられず伝染病の巣へと発展してしまいます。
●多摩川での注意点
1.河川敷内の場所の選択
背の高い草の密集しているところ、ゴミの多いところ、糞の多いところはさける。
2.季節の選択
梅雨時期から真夏にかけてはノミ、ダニのもっとも繁殖している季節。
3.時間帯の選択
小さな子供の多くいる時間帯、日曜、祭日はなるべくさける。
4.マナー上の注意
糞は必ず持ち帰る。発情中の雌犬は犬の多い時間、場所はさける。
ノーリードは本当はいけません。はなして遊ばせるときには周りの状況をよく見てから。
5.その他
一才未満の幼犬の場合ワクチンを接種していても免疫的には不完全で、ワクチンで予防できない感染症に対しては無防備に近い状態。
成犬になるまで多摩川デビューは待った方が無難。
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